○佐伯市消防本部火災調査規程
平成17年3月3日
消防本部訓令第8号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 調査の体制(第5条―第8条)
第3章 調査活動(第9条―第18条)
第4章 児童等に対する取扱い(第19条―第25条)
第5章 原因の決定(第26条・第27条)
第6章 火災損害調査(第28条・第29条)
第7章 り災証明等(第30条―第34条)
第8章 報告(第35条―第37条)
第9章 雑則(第38条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)に関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 本調査は、管轄区域内において発生したすべての火災の原因(以下「原因」という。)並びに火災及び消火により受けた損害を明らかにして、今後の火災予防及び警防の対策に必要な資料を得ることを目的とする。
(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。
(2) 建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(3) 林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
(4) 車両火災 自動車車両、鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(5) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(7) その他火災 前各号に掲げる各火災種別に該当しない火災をいう。
(8) 爆発 人の意図に反して発生し、又は拡大した爆発現象をいう。
(9) 爆発現象 化学変化による爆発の一つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガスと熱を発生し、爆鳴・火災及び破壊作用を伴う現象をいう。
(10) 発火源 出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものをいう。
(11) 経過 出火に関係した現象、状態又は行為をいう。
(12) 着火物 発火源によって最初に着火したものをいう。
(調査の区分)
第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況
(2) 出火原因
(3) 延焼拡大の状況
(4) 初期消火等の状況
(5) 避難の状況
(6) 消防用設備等の状況
(7) 死傷者の状況
(8) 前各号に掲げるもののほか、必要な事項
3 火災損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害
(2) 消火損害
(3) 爆発損害
(4) 人的損害
第2章 調査の体制
(調査の責任)
第5条 消防長は、管轄区域内の火災調査の責任を有する。
2 調査実施責任者は、消防本部警防課長とする。
3 通行中の車両、航行中の船舶の火災については、火災防御した場所を管轄する消防長が、航空機の火災については墜落場所、火災発生場所を管轄する消防長とする。
(体制の確立)
第6条 消防長は、調査に必要な人員及び調査用資器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
2 消防長は、火災の形態により調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認められるときは、調査本部を設置することができる。
3 前項の調査本部の組織、編成等について必要な事項は、別に定める。
(調査の実施)
第7条 消防長は、管轄区域内において火災を覚知したときは、すべての火災に対し、直ちに調査に着手しなければならない。
2 消防長は、調査員を指定して調査に従事させるものとする。
3 消防長は、必要があるときは前項の調査員以外の職員を調査に協力(従事)させるものとする。
(調査員の心得)
第8条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は相互に連絡協調を図り、原因の探求にあっては、綿密詳細に行わなければならないこと。
(2) 調査は、原因の究明又は損害調査上必要な事項に限ることとし、みだりに関係者の民事紛争に関与してはならないこと。
(3) 警察機関その他の関係機関とは綿密な連絡を保ち、調査に当たっては意思の疎通を図り、相互に協力し、調査員のする調査は犯罪の調査でないことに留意して行動しなければならないこと。
(4) 調査で知り得た秘密は、みだりに他に漏らしてはならないこと。
(5) 関係者に対しては、親切を旨とし威圧的な言動等は慎まなければならないこと。
(6) 調査上特に参考となる事項は、記録して保存しておかなければならないこと。
第3章 調査活動
(調査の原則)
第9条 調査は火災の実態を究明することを主眼とし、先入観にとらわれることなく科学的な判断によって行わなければならない。
2 調査は、次により行うものとする。
(1) 関係のある者に対する質問(法第32条第1項)
(2) 関係のある官公署に対する必要事項の通報請求(法第32条第2項)
(3) 立入調査及び関係者に対する資料提出の要求(法第34条)
(4) 逮捕された被疑者に対する質問(法第35条の2第1項)
(5) 押収された証拠物件に対する調査(法第35条の2第1項)
(調査の方法)
第10条 調査員は、火災の状況を観察し、必要な情報及び調査資料の収集に努め、特に物的調査(実況見分)と人的調査(関係ある者に対する質問)を併用し、その事実を究明しなければならない。
(物的調査)
第11条 物的調査は、火災現場において焼け跡及び残存物の焼き状況を、大局的及び部分的に綿密に見分して、それぞれの状況のもつ意義又は所在することの意義を究明して、火災原因又は発火点の判定資料としなければならない。
(火災現場の見分)
第12条 調査員は、火災現場に出向いたときは消火活動中における火炎の色、延焼状況、煙、異臭等の火災に関する現象その他関係者の言動を見聞したときは、現場指揮者に報告しなければならない。
2 調査員は、火災現場を見聞し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合において、原則として関係者の立会いのもとに行わなければならない。
4 調査員は、実況見分及び関係者に対する質問による事実に基づき現場の復元を行うよう努めなければならない。
(人的調査)
第13条 人的調査は、火災現場又はその他の適当な場所において火災の早期発見者、火元その他の関係のある者に対して行い、原因判定上必要な事項について質問し、原因又は発火点の判定資料としなければならない。
2 前項の関係のある者に対する質問は、これを強制してはならない。
(現場の保存)
第14条 消防長は、消火活動後必要があると認めるときは、現場保存の処置を行うものとする。
2 現場保存区域は、警察官と協力し張札等で表示する。ただし、その区域が既に警察職員によって保存され、又は保存されるようになった場合は、この限りでない。
3 前項の区域内には、関係者及びその他火災の関係ある者であってもみだりに出入りさせてはならない。
4 調査員は、発火物その他の証拠物件又はその箇所の保全には、特に留意しなければならない。
(死者の取扱い)
第15条 消防長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(質問)
第16条 調査員は、調査上必要があるときには、関係者に質問し原因の判定資料となる事実の把握に努めなければならない。
3 質問調書の作成に当たり、誤字又は脱字が生じたときは、その上部余白に何字訂正若しくは挿入と記入し、調書作成者自ら押印しておかなければならない。
4 質問調書が数葉に及ぶときは、各葉ごとに調書作成者の割印を押印しなければならない。
5 調査員は、通訳人の介助を得て質問したときは、通訳人を介してその内容を閲覧させ、又は読み聞かせ、被質問者及び通訳人の署名押印を求めるものとする。
(被疑者の取扱い)
第17条 警察署に留置されている放火、失火の被疑者に対し質問するときは、警察署長の承諾を得て行わなければならない。
(照会)
第18条 消防長は、調査のため必要があると認めるときは、関係のある者に対し、資料提出命令書(様式第4号)により任意に資料の提出を求めることができる。ただし、軽易なものについては調査員が直接口頭ですることができる。
3 消防長は、官公署に対する通報又は請求が必要なときは、火災原因調査関係事項照会書(様式第8号)により通報を求めるものとする。ただし、軽易なものについては、調査員が直接口頭ですることができる。
4 消防長は、調査上必要があるときは、関係調査物件について学識経験者、公的機関その他適当と認める者に、鑑定依頼書(様式第9号)により鑑定を依頼することができる。ただし、緊急な場合その他適当と認められる場合は、調査員が直接口頭で依頼することができる。
第4章 児童等に対する取扱い
(準拠)
第19条 この章において「児童」とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条に規定する18歳に満たない者をいう。
(調査員の心得)
第20条 調査員は、児童に関する調査に当たっては児童の特性をよく理解し、言動に注意してその心情を傷つけないよう努めなければならない。
(関係機関との連絡)
第21条 調査員は、児童に関する調査を行うに当たって必要があるときは、警察署、児童相談所、学校その他関係機関との連絡を密にして行わなければならない。
(保護者等の立会い)
第22条 調査員は、児童に質問し、又は現場見分時の立会人とする場合は、保護者、教師、保護司等の立会いのもとにおいて行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、児童の年齢、職業、家庭環境その他の事情を考慮して支障がないと認める場合は、この限りでない。
(署名押印)
第23条 児童の質問調書には、立会いの保護者、教師、保護司等の署名押印を求めるものとする。
(氏名等の公表禁止)
第24条 児童の失火又は放火による火災について、住民、報道機関等に発表する場合は、氏名、年齢、住所等本人を推知できるような情報を漏らしてはならない。
(心神喪失者等の準用)
第25条 心神喪失者及び心神耗弱者等が関係する調査については、この章の規定を準用する。
第5章 原因の決定
(原因の決定)
第26条 原因は、現場の見分、質問その他の関係資料を総合的に検討して判定するものとし、その立証に当たっては物的調査による資料を基礎として、人的調査によりこれを裏付けるものとする。
(原因決定の区分)
第27条 原因の決定は、次のとおりに区分する。
(1) 断定 各資料の証明力を総合することにより、全く疑う余地がなく、極めて具体的かつ科学的にその原因が決定され、少しの推理も必要としないもの
(2) 判定 各資料の証明力を統合することのみでは、具体的又は科学的にその原因を断定することはできないが、多少の推理を加えることにより疑う余地を残さないもの
(3) 推定 各資料の証明力のみによっては、その原因を直接判定することはできないが、当該資料を基礎として専門的立場から、多少の推理を加えることにより、合理的にその原因が推定できるもの
(4) 不明 原因を決定するための資料が全くないとき、又は若干の資料があってもそれらの資料の証明力が極めて弱く、これらの推理を加えてもその原因を合理的に推測できないもの
第6章 火災損害調査
(調査の対象)
第28条 損害の調査は、火災のため損害を受けたものについて行い、その状況を明らかにしておかなければならない。
(損害見積り)
第29条 火災のため損害を受けた物件は、時価で評価し、損害額を算出しなければならない。
2 損害額は、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号)及びその他関係資料により算出するものとする。
第7章 り災証明等
(火災発生届)
第30条 消防長は、火災の関係者に対し火災発生届(様式第11号)を提出させるものとする。
(り災届)
第31条 消防長は、り災者からり災届(様式第12号)の提出を求めておくものとする。
(証明の内容)
第32条 り災の証明は、り災届が提出されている火災に関するものについて、り災届に基づく調査により確認した事実について、証明するものとする。
第8章 報告
(消防長への報告)
第35条 消防本部警防課長は、火災調査の結果について次に掲げる文書をもって、消防長に報告しなければならない。
(1) 火災報告書(様式第17号)
(2) 火災調査書(様式第18号)
(3) 防火管理等調査書(様式第19号)
(4) 損害調査書(様式第20号)
(5) 火災現場実況見分報告書(様式第1号)
(6) 火災出場時における見分調書(様式第2号)
(7) 質問調書(様式第3号)
(8) 火災原因判定報告書(様式第21号)
(9) 火災原簿(様式第22号)
(10) 写真集(様式第23号)
(11) 前各号に掲げるもののほか、火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料
2 前項各号の文書のうち、消防長が必要がないと認めるものは、作成しないことができる。
(消防庁への報告)
第37条 消防組織法(昭和22年法律第226号)第40条の規定に基づく火災に関する報告は、火災報告取扱要領に定めるところにより行わなければならない。
第9章 雑則
(その他)
第38条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が定める。
附則
(施行期日)
1 この訓令は、平成17年3月3日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行の日の前日までに、解散前の佐伯広域消防本部火災調査規程(平成10年佐伯地域広域市町村圏事務組合消防本部訓令甲第1号)の規定によりなされた手続その他の行為は、この訓令の相当規定によりなされたものとみなす。
附則(平成19年4月23日消本訓令第3号)
この訓令は、公示の日から施行する。
附則(平成23年3月1日消本訓令第2号)抄
(施行期日)
1 この訓令は、平成23年3月1日から施行する。
附則(令和2年4月24日消本訓令第3号)
この訓令は、令和2年4月24日から施行する。