○佐伯市環境基本条例

平成22年3月31日

条例第11号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針(第7条)

第2節 環境基本計画(第8条)

第3節 環境の保全及び創造に関する施策等(第9条―第21条)

第4節 施策の推進体制の整備(第22条―第26条)

第3章 雑則(第27条)

附則

わたしたちが住む佐伯市は、歴史文化薫る城山、緑深い祖母傾山系の山並み、清らかな番匠川、恵み多き豊後水道を始めとして美しく豊かな自然に恵まれており、その恩恵を享受し、先人のたゆみない努力によって今日まで発展してきた。

しかしながら、近年の生活の利便性や物質的な豊かさをもたらした資源やエネルギーを大量に消費する社会経済活動は、環境へ多大な負荷を与え、自然の再生能力を超える規模となり、地球温暖化や野生生物の種の減少等の地球環境を脅かすまでに至っている。

さらに今日の環境問題は、かつて経験した佐伯湾の水質汚濁等の公害問題にとどまらず、交通、近隣騒音やごみの不法投棄といった通常の市民生活や事業活動に起因するものが加わり多様化を極めている。

わたしたちは、健康で文化的な生活を営む上で必要となる健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する権利を有するとともに、その環境を将来の世代に継承する責務を有しており、健全で恵み豊かな環境を維持しつつ、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な循環型社会の構築を目指していかなければならない。

このような認識の下に、これまでの生活や事業活動の在り方を省みて、市、市民及び事業者がそれぞれの責務を果たし、協働して環境の保全と創造に取り組み、自然とともに歩み続けるまちの実現を目指すため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全及び創造上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が健康で文化的な生活を営む上で必要となる健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、その環境が将来の世代に継承されるよう適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、多様で豊かな自然環境及び歴史文化を生かし、人と自然との共生が確保されるよう適切に行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、社会経済活動その他の活動による環境への負荷を低減し、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的発展が可能な循環型社会が構築されるよう行われなければならない。

4 環境の保全及び創造は、市、市民及び事業者がそれぞれの役割と責任を明確に認識し、協働によって推進されなければならない。

5 地球環境保全は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることを認識し、すべての日常生活及び事業活動において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、基本理念にのっとり、自らの事務及び事業の実施に当たっては、率先して環境への負荷の低減に努めなければならない。

3 市は、市民及び事業者が行う環境の保全及び創造のための活動を支援し、又はその活動に協力するよう努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造上の支障を防止するため、その日常生活において、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量、温室効果ガスの排出抑制その他の環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造上の支障を防止するため、その事業活動において、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量、温室効果ガスの排出抑制その他の環境への負荷の低減に努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、自らも地域の一員であるとの認識の下に、地域の環境の保全及び創造に貢献するよう努めなければならない。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針

(施策の基本方針)

第7条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、海、森林、河川等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれること。

(4) 環境への負荷の低減が図られるよう、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等が促進されること。

(5) 親水空間及び親緑空間の形成、地域の特性を生かした景観の形成、歴史的文化的環境の保全及び活用等が推進されること。

(6) 地球温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全が推進されること。

(7) 環境の保全及び創造を行うに当たって、市、市民及び事業者が協働して取り組むことのできる仕組みが構築されること。

第2節 環境基本計画

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する長期的な目標及び施策の基本的方向

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、佐伯市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3節 環境の保全及び創造に関する施策等

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全及び創造について配慮しなければならない。

(規制の措置)

第10条 市は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全及び創造上の支障を防止するため、必要があると認めるときは、規制、指導、助言その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

(協定の締結)

第11条 市長は、環境の保全及び創造を図るため、必要があると認めるときは、本市の区域内に事業場等を設置しようとする者又は設置している者との間に環境の保全及び創造に関する協定を締結するものとする。

(経済的措置等)

第12条 市は、市民及び事業者が自ら行う環境への負荷の低減を図るための活動又は環境保全の活動に対し、必要があると認めるときは、助成、支援その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境の保全及び創造に関する事業等の推進)

第13条 市は、下水道、廃棄物処理施設等の整備その他の環境の保全及び創造上の支障の防止に資する事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(自然環境の保全等)

第14条 市は、海、森林、河川等における多様な自然環境の適正な保全及び生物の多様性の確保に努めるとともに、人と自然との豊かな触れ合いを確保するよう努めるものとする。

(資源の循環的利用等の促進)

第15条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等(次項においてこれらを「資源の循環的利用等」という。)に努めるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による資源の循環的利用等が促進されるように、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(快適な環境の創造)

第16条 市は、良好な景観の確保、歴史的文化的環境の保全及び活用等を図ることにより、地域の特性を生かした快適で潤いのある環境の創造に努めるものとする。

(地球環境保全の推進)

第17条 市は、市民及び事業者と協働して、地球温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に関する施策を推進するものとする。

(協働による推進)

第18条 市、市民及び事業者は、協働して環境の保全及び創造に関する施策を効率的かつ効果的に推進するよう努めるものとする。

(環境教育等の推進)

第19条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進を図るものとする。

(自発的な活動の促進等)

第20条 市は、市民、事業者又はこれらの者が組織する民間の団体(次条においてこれらを「市民等」という。)が自発的に行う環境美化活動、緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、技術的な指導又は助言その他必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第21条 市は、第19条の環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進並びに市民等が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

第4節 施策の推進体制の整備

(調査及び情報の収集)

第22条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に必要な調査並びに情報の収集に努めるものとする。

(監視等の体制の整備)

第23条 市は、環境の状況を把握するために必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

(国、県及び他の地方公共団体との協力)

第24条 市は、広域的な取組が必要とされる環境の保全及び創造に関する施策については、国、県及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(財政上の措置)

第25条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(年次報告)

第26条 市長は、毎年度、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況に関する報告書を作成し、これを公表しなければならない。

第3章 雑則

(委任)

第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に策定されている環境の保全及び創造に関する市の基本的な計画であって、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るためのものは、第8条第1項の規定により定められた環境基本計画とみなす。

佐伯市環境基本条例

平成22年3月31日 条例第11号

(平成22年3月31日施行)

体系情報
第8編 生/第6章 境/第1節 環境保全
沿革情報
平成22年3月31日 条例第11号