○佐伯市中小企業活性化基本条例

平成28年6月30日

条例第30号

佐伯市内事業所の大部分を占める中小企業は、本市における雇用の創出や所得の向上など、地域社会にとって重要な役割を果たし、地域経済の発展と市民生活の向上に大きく貢献してきた。

しかしながら、経済のグローバル化による企業間競争の激化、少子高齢化の進行及び人口減少時代の到来など、中小企業を取り巻く環境は大きく変化してきている。

県境を越えて、隣接する延岡市や両市の経済界を中心に、共に強力に取り組んできた東九州自動車道の整備により、これまで地域社会を支えてきた中小企業、中でも小規模企業の経営環境は明るい面と厳しい面が想定される。

このような中、本市が持続的に発展していくためには、中小企業自らが創意工夫により経営の安定・向上のために努力を払うことが重要であり、そして、中小企業の振興が本市の発展に欠かせないものであるという認識を、企業はもちろんのこと、行政や市民も共有することが何より重要である。

そこで、中小企業を振興する上での企業、行政及び市民の役割や関係を明らかにし、協働して地域経済の振興を図ることにより、もって地域の発展に資するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業が地域経済の発展に果たす役割の重要性に鑑み、本市の中小企業の振興に関して基本的な事項を定めるとともに、関係者の役割等を明らかにすることで、中小企業の活性化を図り、もって地域社会の発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業 次のいずれかに該当する者であって、本市内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。

 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者

 に規定する中小企業者の事業の共同化のための組織

(2) 小規模企業 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、本市内に事務所等を有するものをいう。

(3) 中小企業団体 次のいずれかに該当する団体であって、その構成員の多数が本市内に事務所等を有するものをいう。

 中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号)第3条第1項に規定する中小企業団体

 商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)第2条第1項に規定する商店街振興組合及び商店街振興組合連合会

 又はの団体に準ずる団体で市長がこの条例による施策の対象とすることを適当と認めるもの

(4) 中小企業支援団体 商工会議所、商工会、中小企業団体中央会その他中小企業の支援を行う団体で、県内に事務所を有し、かつ、本市内において事業を営んでいるものをいう。

(5) 大企業 第1号アに規定する中小企業者以外の事業者(会社及び個人に限る。)であって、本市内に事務所等を有するものをいう。

(6) 金融機関等 銀行、信用金庫、信用協同組合その他金融の業務を行う事業者で、県内に本店又は支店を有し、かつ、本市内において事業を営んでいるもの及び大分県信用保証協会をいう。

(7) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校で、本市内に存するものをいう。

(8) 市民 次に掲げる者のいずれかに該当するものをいう。

 本市内に住所を有する者

 本市内に通勤し、又は通学する者

 本市内で事業を営み、又は活動する個人及び法人その他の団体

(基本理念)

第3条 中小企業の振興は、中小企業の自主的な努力及び創意工夫を尊重して推進されなければならない。

2 中小企業の振興は、自然環境、人材、技術、産業構造その他本市が有する資源を総合的に活用して推進されなければならない。

3 中小企業の振興は、市、中小企業団体、中小企業支援団体、大企業、金融機関等及び学校が中小企業とともに相互に連携して推進されなければならない。

4 中小企業の振興は、特に小規模企業の経営面及び資金面に配慮するほか、中小企業の経営規模を勘案して推進されなければならない。

(中小企業の役割)

第4条 中小企業は、経済的・社会的環境の変化に即応するため、経営の革新、経営基盤の強化等に努めるとともに、事業活動を行うに当たっては、地域経済を牽引する役割を果たすものとする。

2 中小企業は、自らが地域経済の基盤を形成していることを認識し、雇用環境の安定を図り、かつ、人材の育成に努めるものとする。

3 中小企業は、事業を通じて地域社会に参画することにより、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

4 中小企業は、他の中小企業、中小企業団体、中小企業支援団体、大企業、金融機関等、学校及び市民との交流に努め、互いの協力によって、一層の事業の発展を図ることに努めるものとする。

5 中小企業は、地域経済の振興を図るため、本市の特産品等の利活用及び中小企業支援団体への加入に努めるものとする。

(市の役割)

第5条 市は、第3条に定める基本理念にのっとり、中小企業支援団体、国、県その他の関係機関と連携し、市民の理解と協力を得ながら、社会経済情勢の変化に対応した中小企業の振興に関する施策の策定その他の適切な措置を講ずるものとする。

(中小企業団体の役割)

第6条 中小企業団体は、中小企業の経営の向上及び改善に積極的に取り組むとともに、本市が行う中小企業の振興に関する施策の実施について協力するよう努めるものとする。

(中小企業支援団体の役割)

第7条 中小企業支援団体は、中小企業に対し、事業活動に有効な国、県、市等の施策や支援事業の情報を提供するとともに、中小企業支援団体相互の連携を図り、経営改善及び創業の支援を行うものとする。

(大企業の役割)

第8条 大企業は、事業活動を行うに当たっては、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚するとともに、中小企業の発展が自らの事業活動の維持及び発展に欠くことのできない重要な存在であることを認識し、中小企業との連携を図り、及びその協力を得ながら、共に地域経済の振興に努めるものとする。

2 大企業は、地域経済の振興を図るため、本市の特産品等の利活用及び中小企業団体への加入に努めるものとする。

(金融機関等の役割)

第9条 金融機関等は、中小企業の円滑な資金調達及び経営改善に協力するよう努めるものとする。

(学校の役割)

第10条 学校は、社会見学、職場体験活動等を通じて、望ましい勤労観・職業観を育てるなどキャリア教育を推進し、次世代の地域の産業経済を担う人材の育成に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第11条 市民は、中小企業の振興が地域活性化及び市民生活の向上に寄与することを理解し、中小企業の成長及び発展に協力するよう努めるものとする。

2 市民は、消費者として、本市の特産品等を利活用するよう努めるものとする。

(基本方針)

第12条 市は、中小企業の振興に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、第3条に定める基本理念にのっとり、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行うことを基本とする。

(基本的施策)

第13条 前条の基本方針に基づく基本的施策は、次のとおりとする。

(1) 中小企業の経営の革新及び創業の促進を図ること。

(2) 中小企業の経営基盤の強化を図ること。

(3) 中小企業の資金調達の円滑化を図ること。

(4) 中小企業の人材の確保及び育成並びに事業環境の整備を図ること。

(5) 中小企業及び中小企業団体の活用による地域内の経済循環を図ること。

(6) 中小企業の大部分を占める小規模企業の経営支援を図ること。

(7) 地域資源の利活用による産業の発展及び創出を図ること。

(意見の聴取)

第14条 市は、中小企業の振興に関する施策の推進に当たっては、中小企業の実態を把握するため、中小企業を始めとする関係者の意見を広く聴く機会を設けるものとする。

(中小企業の振興に関する取組の公表)

第15条 市は、中小企業の振興に関する主たる施策の取組を公表するものとする。

(財政上の措置)

第16条 市は、中小企業の振興に関する施策を推進させるために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

佐伯市中小企業活性化基本条例

平成28年6月30日 条例第30号

(平成28年6月30日施行)