○ともに生きる佐伯市手話言語条例

令和3年3月22日

条例第11号

言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話は、音声言語と異なる言語であり、手指や体の動き、表情を用いて意見や感情を視覚的に表現する言語である。

ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできた。

2006年に国際連合総会において「障害者の権利に関する条約」が採択され、手話は言語であると定義付けされた。また、我が国においても障害者基本法により手話は言語であることが位置付けられている。しかし、社会的な理解や環境の整備が進んでいるとは言えないのが現実であり、こうした状況はろう者からコミュニケーションを図る機会を奪ってきたことに等しいと言える。

手話による円滑なコミュニケーションが成立しない状況は、ろう者にとって不自由な社会というだけでなく、ろう者とコミュニケーションを必要としている人にとっても不自由な社会であり、全ての人が等しく暮らすことができる共に生きる地域社会づくりを推進するに当たって、大きな支障となっている。

こうした中で、ろう者が情報を容易に得ることができる環境の整備や意思疎通を円滑に行うことができる体制の確立は、共に生きる地域社会を形成していく上で必須であるという理解の下、手話が言語であるとの認識に基づき手話への理解の促進と手話の普及を地域で支え、手話を使って安心して暮らすことができるまちづくりを目指すため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話への理解の促進、手話の普及及び手話による円滑な意思疎通の支援に関する基本理念、市の責務、市民及び事業者の役割並びに総合的かつ計画的な施策の推進について定めることにより、全ての市民が相互に人格及び個性を尊重し、心豊かに共に生きる地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ろう者 手話を日常的にコミュニケーションの手段として用い、又は用いようとする聴覚に障がいのある者をいう。

(2) 市民 市内に居住し、若しくは滞在し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。

(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 手話への理解の促進、手話の普及及び手話による円滑な意思疎通の支援は、手話が言語であるとの認識に基づき、ろう者が手話による円滑な意思疎通を図る権利を有し、その権利が全ての市民に尊重されることを基本として行わなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、手話への理解の促進、手話の普及及び手話による円滑な意思疎通の支援を図るため、ろう者の意見に配慮した上で必要な施策を推進するものとする。

(市民及び事業者の役割)

第5条 市民及び事業者は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第6条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項の規定により策定する市町村障害者計画及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項の規定により策定する市町村障害福祉計画において、次に掲げる施策を定め、総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 手話への理解の促進に関する施策

(2) 手話の普及に関する施策

(3) 手話による円滑な意思疎通の支援に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

(財政措置)

第7条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

ともに生きる佐伯市手話言語条例

令和3年3月22日 条例第11号

(令和3年3月22日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第5節 障害者福祉
沿革情報
令和3年3月22日 条例第11号