○佐伯市における再生可能エネルギー発電事業と地域との共生に関する条例
令和3年7月1日
条例第29号
(目的)
第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電事業が自然環境や景観、市民の生活環境に及ぼす影響に鑑み、再生可能エネルギー発電施設の設置に関し必要な事項を定めることにより、本市の自然環境と地域住民等の安全な生活の保全を図り、再生可能エネルギー発電事業と地域との共生に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 再生可能エネルギー発電事業は、市、事業者、市民その他の地域の関係者の相互の密接な連携の下に、地域の活力の向上及び持続的発展を図ることを旨として行わなければならない。
2 再生可能エネルギー発電事業は、自然環境や景観、市民の生活環境への配慮について適正に行わなければならない。
(1) 再生可能エネルギー発電事業 再生可能エネルギー発電施設を設置し、発電を行う事業をいう。
(2) 再生可能エネルギー発電施設 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項に規定する再生可能エネルギー発電設備をいう。
(3) 地域住民等 再生可能エネルギー発電事業に伴って、生活環境等に一定の影響を受ける可能性を有するものをいう。
(4) 事業者 再生可能エネルギー発電事業を行うものをいう。
(5) 事業区域 再生可能エネルギー発電事業の用に供する土地の区域をいう。
(6) 土地所有者等 事業区域の土地の所有者、占有者及び管理者をいう。
(市の責務)
第4条 市は、第1条の目的を達成するために、この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講じるものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守し、並びに災害の防止及び自然環境や景観、市民の生活環境に十分配慮するとともに、関係者と良好な関係を保つよう努めなければならない。
2 事業者は、再生可能エネルギー発電施設を設置するに当たり、再生可能エネルギー発電事業が市民の生活環境に及ぼす影響を考慮し、再生可能エネルギー発電事業と地域との共生を図るために必要な措置を講じなければならない。
3 事業者は、地域との共生に支障を生じさせないよう再生可能エネルギー発電施設を適切に管理しなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は、第1条の目的を達成するために、市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。
(土地所有者等の責務)
第7条 土地所有者等は、再生可能エネルギー発電事業により、自然環境若しくは景観を損ない、又は災害、生活環境への被害等が発生することのないよう、当該土地を適切に管理しなければならない。
(適用事業)
第8条 この条例を適用する再生可能エネルギー発電事業は、次の各号のいずれかに該当する再生可能エネルギー発電施設を設置し、発電を行う事業とする。
(1) 築造面積が500平方メートルを超えるもの(既に設置されている再生可能エネルギー発電施設であって、増設等により築造面積が500平方メートルを超えることとなるものを含む。)
(2) 高さが10メートルを超えるもの
2 前項の規定にかかわらず、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物の屋根又は屋上に再生可能エネルギー発電施設を設置し、発電を行う事業については、この条例の規定は適用しない。
(抑制区域)
第9条 市長は、次の各号のいずれかの区域を、事業者に対し事業区域に含めないように求めることができる区域として指定することができる。
(1) 良好な自然環境及び優れた景観を保全する必要があると認められる区域
(2) 歴史的又は文化的な特色を有している区域
(3) 優良な農地及び良好な森林区域として保全する必要があると認められる区域
(4) 土砂災害その他自然災害による被害の危険性が高い区域
(5) 良好な住宅環境が保たれている区域
(事前協議)
第10条 事業者は、第13条の規定による届出をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、再生可能エネルギー発電事業に関する計画(以下「事業計画」という。)について市長と協議しなければならない。
2 市長は、前項の規定による協議があったときは、事業者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。
(地域住民等への説明)
第11条 事業者は、第13条の規定による届出をしようとするときは、あらかじめ、事業計画の内容について地域住民等に対する説明会を開催するなどの周知に係る必要な措置を講じなければならない。
2 前項の措置を行うに当たっては、事業者は、事業計画の内容について地域住民等の理解が得られるよう努めなければならない。
3 事業者は、第1項の措置を講じたときは、規則で定めるところにより、その結果を市長に報告しなければならない。
2 事業者は、前項の規定による縦覧を行ったときは、規則で定めるところにより、その結果を市長に報告しなければならない。
(届出)
第13条 事業者は、再生可能エネルギー発電施設を設置しようとするときは、規則で定めるところにより、当該施設の設置に係る工事(以下単に「工事」という。)に着手しようとする30日前までに、次に掲げる事項を市長に届け出なければならない。
(1) 事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)
(2) 工事の着手予定日及び完了予定日
(3) 事業区域の所在地、面積及び事業完了時における土地の形状
(4) 再生可能エネルギー発電施設の設置する位置、構造及び発電出力
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
(協定の締結等)
第14条 事業者は、前条の規定による届出をしたときは、規則で定めるところにより、再生可能エネルギー発電事業に関する協定を市長と締結しなければならない。
2 事業者は、前項の規定により締結した協定を忠実に履行し、誠実に守らなければならない。
(事業の変更等)
第15条 事業者は、再生可能エネルギー発電事業の内容又は事業者を変更しようとするときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。
(工事完了の届出)
第16条 事業者は、工事が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかにその旨を市長に届け出て、確認を受けなければならない。
(事業の廃止等)
第17条 事業者は、再生可能エネルギー発電事業を廃止するときは、規則で定めるところにより、市長にその旨を届け出るとともに、当該事業により設置した再生可能エネルギー発電施設を関係法令に基づき適正に処分しなければならない。
2 事業者は、前項の規定により再生可能エネルギー発電施設の処分が完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。
(立入調査)
第18条 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において、職員に事業者の事務所、事業所若しくは事業区域に立ち入り、必要な調査をさせ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定による立入調査を行う職員は、規則で定める証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は、これを犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(指導、助言及び勧告)
第19条 市長は、必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、事業者に対し、必要な措置を講じるよう指導又は助言を行うことができる。
2 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、規則で定めるところにより、事業者に対し、期限を定めて必要な措置を講じるよう勧告することができる。
(2) 事業者が第14条第1項の規定による協定を締結せず、工事に着手したとき。
(4) 事業者が前項の指導又は助言に正当な理由なく従わなかったとき。
3 事業者は、前2項に規定する指導、助言又は勧告を受けた場合は、当該指導、助言又は勧告により講じた措置の内容について、規則で定めるところにより、速やかに市長に報告しなければならない。
(公表)
第20条 市長は、前条第2項の規定により勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、規則で定めるところにより、当該事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表を行う場合は、あらかじめ事業者に対し、規則で定めるところにより、その理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(適用区分)
2 この条例は、令和3年10月1日以後に工事に着手する再生可能エネルギー発電事業について適用する。