○佐伯市議会基本条例

平成22年9月30日

条例第47号

目次

前文

第1章 総則

第1条(目的)

第2条(基本理念)

第2章 議会の使命及び活動原則

第3条(議会の使命及び活動原則)

第3章 議員の使命及び活動原則

第4条(議員の使命及び活動原則)

第5条(会派)

第4章 市民と議会の関係

第6条(市民参加及び市民との連携)

第7条(議会モニター制度)

第5章 市長等と議会の関係

第8条(市長等との関係)

第9条(議論の充実)

第10条(監視及び評価)

第11条(議決事件の拡大)

第6章 議会機能の強化

第12条(議会機能の強化)

第13条(議会事務局の体制整備)

第14条(議員定数)

第15条(議員報酬)

第16条(議員研修の充実)

第17条(政務活動費)

第18条(議会広報の充実)

第19条(議会図書室の充実)

第20条(調査機関の設置)

第21条(予算の確保)

第7章 会議の運営

第22条(自由討議の保障)

第23条(委員会の活動)

第8章 政治倫理

第24条(政治倫理)

第9章 最高規範性と見直し手続

第25条(最高規範)

第26条(議会及び議員の責務)

第27条(見直し手続)

附則

いわゆる地方分権一括法による機関委任事務の廃止に端を発して以来、地方公共団体には事務の決定、運用における責任能力の有無が直接的に問われる時代となった。これに伴い、二元代表制の一翼を担う議会には、地方公共団体の事務の執行に対する議決権を的確に行使するとともに、住民の意思を代弁する唯一の議事機関として、その負託にこたえるべく、たゆまぬ努力を傾注することが求められている。

こうした状況の下、本市議会は、団体自治の観点から、地方自治法に限定的に規定された議決事件にとどまらず、行政運営に責任を持つことを宣言する議決事件を定め、さらに住民自治の観点からは、執行機関に対する監視機能の強化を図り、議員相互間の討議を軸とした合議制の意思決定機関たるべく、その責務を果たさなければならない。

また、長と議会の関係は、二元代表制から導かれる機関対立主義を形成しており、それぞれの異なる特性を生かして住民の意思を行政に的確に反映させる共通の使命を負っている。本市議会は、その責務を全うする手段の一つとして、政策立案能力を向上させ、現実に政策条例を提案し、長と議会が政策を巡って競い、両輪で佐伯市をけん引することが重要と考える。さらに、時代は、市民に開かれた市民参加型の議会を促しており、その要求にこたえるためにも積極的に具体的な措置を講じる必要がある。

これらの認識を糧にして、本市議会は、市民の声と心を代弁する役割のみに終始するのではなく、住民全体の福祉の向上と地域社会の活力ある発展を目指し、力強く魅力ある佐伯市の実現に向け、不断の努力を重ねることで市民の信頼を勝ち得たい。

ここに、新たな時代の礎とするため、佐伯市議会及びその構成員である議員の活動の支柱として、議会の最高規範たる、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市民に開かれた活力ある議会を構築するために必要な基本理念、議会及び議員の使命及び活動原則その他議会の運営に関する基本的事項を定めることにより、合議制の機関である議会の役割を明確にし、議会が市民の負託にこたえ、もって公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は、市民を代表する市政最高の意思決定機関として市民の意思を市政に反映させるため努力を惜しまずその活動に専念し、公平かつ公正な議論を尽くし、真の地方自治の実現を目指すものとする。

第2章 議会の使命及び活動原則

(議会の使命及び活動原則)

第3条 議会は、合議制の特性を生かし、民意を代表する議員の議会活動を通じて、市民の多様な意見を集約し、市政に適切に反映させることを使命とする。

2 議会は、前項の使命を果たすために、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公正性及び透明性を確保し、市民に開かれた議会を目指すこと。

(2) 市民の多様な意見を的確に把握し、政策形成に反映できるよう市民参加の機会の拡充に努めること。

(3) 把握した市民の意見の下に政策提言、政策立案等の強化に努めること。

(4) 議会内での申し合わせ事項は、不断に見直しを行うこと。

(5) 市民の傍聴の意欲を高める議会運営を行うこと。

第3章 議員の使命及び活動原則

(議員の使命及び活動原則)

第4条 議員は、市民の直接選挙によって選ばれた公職として、常に市政の課題を把握し、公益性の見地から、市全体を見据え、市民の多様な意見を市政に反映させることを使命とする。

2 議員は、前項の使命を果たすために、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研さんにより資質の向上を図ること。

(3) 議会の構成員として全市民の福利の向上を目指し活動すること。

(4) 議会活動について、市民に対する説明責任を果たすこと。

(会派)

第5条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成するものとする。

3 会派は、議会活動について、市民に対し説明するよう努めなければならない。

第4章 市民と議会の関係

(市民参加及び市民との連携)

第6条 議会は、佐伯市情報公開条例(平成17年佐伯市条例第13号)との整合を図りつつ、その有する情報を市民に公開するとともに、説明責任を十分に果たさなければならない。

2 議会は、本会議その他すべての会議を原則として公開するものとする。

3 議会は、参考人制度及び公聴会制度を十分活用して、市民の専門的又は政策的識見等を求めるとともに多様な広報公聴手段を活用し、一般市民の声を積極的に聴取するものとする。

4 議会は、請願及び陳情を市民による政策提言と位置づけ、その審議においては、原則として当該請願及び陳情をした者の意見を聴く機会を設けるものとする。

5 議会は、重要な議案に対する各議員の表決の結果を議会広報で公表する等、議員の活動に関し市民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

6 議会は、議案等を議決したときは、その議決責任を深く受けとめるとともに、市民に対して当該議決に至る経過及びその理由を説明する責務を有するものとする。

7 議会は、前項の責務を果たすため、すべての議員の参加の下、議会報告会を年1回以上開催するとともに、報告事項等に関して市民から提出された意見をもとに議会運営の改善、政策提言等に反映させるよう努めるものとする。

(議会モニター制度)

第7条 議会は、市民を構成員とする議会モニターを設置するものとする。

2 常任委員会、特別委員会及び議会運営委員会(以下これらを「委員会」という。)は、重要な議案等を審査する場合において必要と認めるときは、当該議案等に対する議会モニターの意見を聴取するものとする。

3 議会は、議会モニターから議会の運営等に関する要望、提言その他の意見を聴取し、議会活動の改善に努めるものとする。この場合において、委員会は、必要に応じ当該委員会における審査の過程等の説明を行うものとする。

4 議会モニターの運営に関しては、議長が別に定める。

第5章 市長等と議会の関係

(市長等との関係)

第8条 議会は、二元代表制の下、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との立場及び権能の違いを踏まえ、緊張ある関係を構築し、事務執行の監視及び評価を行うとともに、政策立案及び政策提言等を通じて市民福祉の向上と市政の発展に取り組まなければならない。

(議論の充実)

第9条 議会の会議における質疑応答は、市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答方式で行うことができる。

2 議長又は委員会の委員長(以下「委員長」という。)は、議会の会議及び委員会において議員の質疑、質問、政策提言、議員提出議案等に関して、市長等及びその補助職員に対して、発言の許可を与え、反問し、又はその趣旨を確認する機会を付与するものとする。

3 議会は、市長等が提案する重要な施策等について、必要に応じてその政策形成過程の説明を求めるものとする。

4 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、市長に対し、分かりやすい施策別又は事業別の説明資料を求めるものとする。

(監視及び評価)

第10条 議会は、市長等の事務の執行が適正に、かつ、公平性及び効率性をもって行われているかを監視し、必要があると認めるときは、適切な措置を講ずるよう求めるものとする。

2 議会は、市長等の事務の執行の効果及び成果について評価し、必要があると認めるときは、適切な措置を講じるものとする。

(議決事件の拡大)

第11条 議会は、市政における重要な計画等の決定に参画するため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定により、議会の議決すべき事件を次のように定める。

(1) 佐伯市総合計画基本構想に基づく基本計画を策定し、又は変更すること。

(2) 佐伯市都市計画マスタープランを策定し、又は変更すること。

(3) 佐伯市長期総合教育計画を策定し、又は変更すること。

第6章 議会機能の強化

(議会機能の強化)

第12条 議会は、市長等の事務の執行の監視及び評価並びに政策立案及び政策提言に関する議会の機能を強化するものとする。

2 議会は、市の政策水準の向上を図るため、条例の提案、議案の修正、決議等を通じて市長等に対し、政策立案及び政策提言を行うものとする。

3 議会は、市政に関する議員の一般質問等における政策提案又は政策提言について、必要があると認めるときは、その政策立案に向けた調査、研究等を行うための政策研究会を設け、その具現化に努めるものとする。

4 政策研究会の組織及び運営に関しては、議長が別に定める。

(議会事務局の体制整備)

第13条 議会は、議会の政策立案機能を充実させるとともに、円滑かつ効率的な議会運営を行うため、議会事務局の調査、政策法務その他の機能の充実を図るものとする。

2 議長は、議会事務局の職員人事に関し、その任免権を行使するものとする。この場合において、市長等は、議会事務局の職員人事に関して、あらかじめ議長と協議しなければならない。

(議員定数)

第14条 議員の定数の改定に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して市民の意見を聴取するため、議会モニター制度、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

2 議員の定数の条例改正に関する議案は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合を除き、議員又は委員会が提案するよう努めなければならない。

3 議員の定数は、別に条例で定める。

(議員報酬)

第15条 議員報酬の改定に当たっては、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状及び課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して市民の意見を聴取するため、議会モニター制度、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。

2 議員報酬の条例改正に関する議案は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合を除き、議員又は委員会が提案するよう努めなければならない。

3 議員報酬は、別に条例で定める。

(議員研修の充実)

第16条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図り、法令及びこの条例の理念を議員に浸透させるよう努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、各分野の専門家その他の有識者との研修会を積極的に開催するものとする。

(政務活動費)

第17条 会派又は議員は、政策形成能力の向上等を図るため、政務活動費を有効に活用し、積極的に市政に関する調査研究、政策提言その他の活動を行うものとする。

2 会派又は議員は、政務活動費を適正に執行し、市民に対しその使途についての説明責任を負うものとする。

3 政務活動費の交付に関しては、別に条例で定める。

(議会広報の充実)

第18条 議会は、市政に関する重要な情報を議会の視点から市民に対して提供するとともに、市民の意見、要望等を取り上げ、その内容及び対応について定期的に公表するよう努めるものとする。

2 議会は、多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう広報活動に努めるものとする。

(議会図書室の充実)

第19条 議会は、議員の調査研究に資するために設置する議会図書室を適正に管理し、運営するとともに、その図書、資料等の充実に努めるものとする。

2 図書室の利用に関しては、議長が別に定める。

(調査機関の設置)

第20条 議会は、市政の課題に関する調査の必要があると認めるときは、議決により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

2 前項の調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(予算の確保)

第21条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より開かれた議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

第7章 会議の運営

(自由討議の保障)

第22条 議会は、議案等の審議、審査又は調査においては、議員相互の自由な討議により議論を尽くして合意形成を図るよう努めるものとする。

2 議長及び委員長は、議員相互の自由な討議が積極的に行われるように議会の会議及び委員会を運営しなければならない。

(委員会の活動)

第23条 常任委員会は、市政の課題に適切かつ迅速に対応するため、所管事務調査の積極的な活用により、その機能を十分発揮しなければならない。

2 委員会の審査又は調査に当たっては、市民に対し資料等を積極的に公開し、市民に分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。

3 委員長は、委員会の秩序保持に努め、委員長報告の作成及び当該質疑に対する答弁は責任をもって行わなければならない。

4 委員会は、市民の要請に応じ、議案等の審査及び調査の過程等を説明するため、市民懇談会等を積極的に行うよう努めるものとする。

第8章 政治倫理

(政治倫理)

第24条 議員は、市民の負託にこたえるため、高い政治倫理観が求められていることを自覚し、市民の代表として良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。

2 議員の政治倫理に関しては、別に条例で定める。

第9章 最高規範性と見直し手続

(最高規範)

第25条 この条例は、議会の最高規範であり、議会に関する他の条例、規則その他の法規を解釈し、又は制定し、若しくは改廃する場合は、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。

(議会及び議員の責務)

第26条 議会及び議員は、この条例及び議会に関する他の条例、規則その他の法規を遵守して議会を運営し、市民の負託にこたえなければならない。

(見直し手続)

第27条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意思、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとする。

この条例は、平成22年10月1日から施行する。

(平成24年12月28日条例第55号)

この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する日から施行する。

(平成26年3月31日条例第9号)

この条例は、公布の日から施行する。

佐伯市議会基本条例

平成22年9月30日 条例第47号

(平成26年3月31日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成22年9月30日 条例第47号
平成24年12月28日 条例第55号
平成26年3月31日 条例第9号