皆さん、こんにちは、佐伯市長の冨髙国子です。
この度、大入島における自動運転社会実装推進事業について、現時点では事業の継続を見送る判断をし、今後の進め方を見直すことにしました。大入島の皆様をはじめ市民の皆様にはご心配をおかけいたしますが、現在の状況と今後の展望についてご説明させていただきます。
この事業は、人口減少や高齢化に加え、運転士不足が進む佐伯市にとって、地域を支える公共交通をどう守っていくかという課題に対し、特に高齢化が進む大入島の皆様の移動手段を確保するために、自動運転技術が将来の選択肢となり得るかを検討するものでした。昨年度は、約1か月間の実証運行を行い、多くの方にご利用いただき、貴重なご意見をいただくことができました。
実証運行を通じて、いくつかの課題が明らかになりました。利用者の皆様からは、カートタイプの車両では運行速度が遅く、冬季は寒いといったご意見が寄せられ、将来的には自家用車タイプの車両導入が必要であるとの見解を得ました。
また、自家用車タイプの車両は1台あたりの導入コストが非常に高額であり、現在のコミュニティバスと同程度の便数を維持するためには複数台の車両が必要となることから、既存のコミュニティバスの運行経費と比較して大幅なコスト増加が見込まれます。
新しい技術を取り入れることは、まちの発展にとって大変重要だと考えています。しかし、長期にわたって安定して交通手段を維持していくためには、費用と効果のバランスを慎重に見極め、市の財政に過度な負担をかけないよう判断することが大切です。今回の検討の結果、まずは既存のコミュニティバスをより充実させ、皆様にとって使いやすいものにしていくことが、今の佐伯市にとって最も良い方法であると判断しました。
なお、今回の判断は、あくまで現時点での状況に基づいたものであり、自動運転技術の将来的な可能性を否定するものではありません。今後の技術革新やコストダウン、そして国の補助制度の動向などを注視し、将来的に佐伯市に適した形での導入の可能性も視野に入れていきます。
これからも市民の皆様の声を大切にし、地域に寄り添った公共交通の実現を目指していきます。引き続き、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。