森林環境税及び森林環境譲与税の趣旨
森林の有する公益的機能は、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や水源の涵養等、国民に広く恩恵を与えるものであり、適切な森林の整備等を進めていくことは、我が国の国土や国民の生命を守ることにつながる一方で、所有者や境界が分からない森林の増加、担い手の不足等が大きな課題となっています。
このような現状の下、平成30(2018)年5月に成立した森林経営管理法を踏まえ、パリ協定の枠組みの下における我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成31(2019)年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、「森林環境税」及び「森林環境譲与税」が創設されました。
森林環境税(国税)の課税・徴収についてはこちらをご覧ください。
森林環境譲与税の使途公表
森林環境譲与税を活用した主な取組事例(令和4年度)
※事業費は、千円未満四捨五入の表示としています。
私有林の森林整備・路網整備
・未整備森林解消の取組(現況調査事業、未整備森林測量設計事業、未整備森林整備事業)
森林所有者の高齢化や担い手不足、経営意欲の減退等により、間伐などの手入れ不足の未整備森林が増加傾向にあります。
このため、森林の公益的機能の維持・増進及び未整備森林の解消等森林資源の適切な管理を図るため、優先順位の高い未整備森林から林内の現況調査、森林所有者への意向調査を実施し、森林所有者や関係者と協議を行い、市と森林所有者との協定よる森林整備を実施しています。
今後も引き続き、森林所有者の意向や林内の現況を把握し、森林所有者及び関係者と連携して、未整備森林の解消に取り組みます。
【事業費】8,177千円(全額譲与税)
【実 績】意向調査(過年度に実施。R2年240ha、R3年106ha)
測量・プロット調査・設計(米水津浦代浦地区1.87ha、脇地区0.21ha)
協定間伐(米水津浦代浦地区1.58ha、脇地区0.19ha)
現況調査123ha(本匠地区)
現況調査
間伐作業
・森林整備推進事業
造林した森林の未整備森林化の防止及び将来にわたる安定的な木材生産を目的に、公共造林事業(※)の鳥獣防護柵、下刈、除伐、保育間
伐、搬出間伐について、国・県とともに市の補助を行いました。
※公共造林事業・・・森林を育成し健全な状態に保つ作業に対して、国と都道府県が行う補助事業
【事業費】99,621千円(内、譲与税88,537千円)
【実 績】鳥獣防護柵164,083m、下刈(1年生)325ha、下刈(2~5年生)1,340ha、保育間伐66ha、除伐185ha
植林後の鳥獣防護柵の設置作業
植林後の下刈作業
・森林基盤整備事業
森林整備を目的に開設した作業道の強化及び機能維持、さらに森林の保全・林業の経営基盤の安定向上を図るため、作業道の整備・開設等に
対する補助及び原材料(生コン)支給を行いました。
【事業費】41,898千円(全額譲与税)
【実 績】開設整備780m、補修整備32,045m、生コン支給舗装5,607m
補修前
補修後
・倒木被害防止に係る事前伐採事業
倒木による停電等の発生を未然に防止するため、電線を断線させる恐れのある樹木について事前伐採を行う協定を市と九州電力送配電(株)で締結しました。この取組は、住民生活に必要な地域インフラ設備等の停電等が軽減できることが見込まれ、住民の安全・安心な暮らしを守ることに繋がります。
令和4年度は、消防・救急デジタル無線局へと繋がる電線沿いについて、事前伐採を行いました。
【事業費】4,887千円(全額譲与税)
【実 績】伐採延長 約3.5km(大字狩生)
・さいきの森整備事業
森林の持つ公益的機能を持続的に発揮していくため、健全で優良な森林の造成を目指すことを目的に、(1)小規模森林の除伐・間伐、(2)危険林の伐採、(3)住民の生活環境保全上重要であると認められる森林整備の補助制度を創設しています。
令和4年度は、住宅裏山等への倒木被害軽減を図るため、危険林の伐採が行われました。
【事業費】 3,843千円(全額譲与税)
【実 績】18箇所0.68ha
伐採前
伐採後
・林道基盤整備事業
林業経営の収益性向上を図っていくためには、現場状況に合った適切な作業システムを構築するとともに、それに応じた森林整備の基盤とな
る林道等の路網を整備することが非常に重要です。
市では、未舗装部の林道について舗装を行うことにより、通行車両の安全性の向上や移動時間の短縮化、大雨による被害軽減を図るため、
鉄鋼スラグ等による低コスト舗装を進めています。
【事業費】18,400千円(全額譲与税)
【実 績】鉄鋼スラグ舗装2957.7m、コンクリート舗装109.8m
舗装前
舗装後
松林の保護
・高度公益松林病害虫被害防止事業
松林に甚大な被害をもたらす松くい虫被害は、線虫が松の樹体内に入ることで引き起こされます。そのため、公益的機能が高く将来にわたって保全すべき松林において、松の枯損の原因となる病害虫被害を防止し、健全で優良な森林の醸成を図ることを目的に、松林への樹幹注入防除活動を行う地元自治会等へ補助を行いました。
令和4年度は、波当津海岸の松林の一部において防除活動が実施されました。
【事業費】300千円(全額譲与税)
【実 績】蒲江大字波当津地区(松林34本)
松の樹幹注入作業
松の樹幹注入作業
担い手確保・林業就業者の育成
・再造林担い手確保支援事業
地拵えや植栽、下刈を行う造林作業員が、機械化が進まず重労働である影響もあり、高齢化や担い手不足となっています。そのため、伐採後の植栽等に従事する造林作業員の確保・育成・就業環境の改善を図ることを目的に、造林OJT(職場教育)研修を行う事業体に対して、研修に係る費用の補助を行いました。
【事業費】2,108千円(内、譲与税1,055千円)
【実 績】新規就業者研修生4人(2事業体)
職場研修の様子(植林前の地拵え)
職場研修の様子(苗木の植え付け)
・林業就業促進PR事業
林業の担い手確保の対策として、林業の魅力を伝え、林業の就業に対する理解を深めてもらうことを目的に、これから就業機会を迎える学生に対し、林業に触れてもらう機会を創る事業に取り組みました。
令和4年度は、座学のほか、苗木生産・伐採・造林の現場見学や作業体験を行い、市内外の学生にPRを行いました。
【事業費】297千円(全額譲与税)
【実 績】林業体験会3回 中高生計75名
伐採現場見学の様子
座学の様子
※実際に佐伯市の林業に就業している方々が出演しているプロモーション映像(森林環境譲与税を活用し、令和3年度に作成した映像)も
常時配信しています。ぜひご覧ください。
・林業就業環境改善事業
林業従事者の就業促進及び就職後の就業定着を図るため、就業環境を改善する施設整備や、装備の購入に関する費用に補助を行っています。
令和4年度は、2事業体の就業者の装備購入に支援を行いました。
【事業費】232千円(内、譲与税117千円)
【実 績】2事業体15名分(空調服3着、クーリングジャケット10着、パワースーツ2着)
就業者の装備品
就業者の装備品
・製材業労働環境改善事業
市内の製材業等事業所の生産性向上、労働者確保を促進し、原木消費量増大の喚起を図ることを目的として、事業所内の労働安全環境を改善するための、設備・装備等の整備費用に補助を行いました。
【事業費】72千円(内、譲与税37千円)
【実 績】事業所内連絡用無線機10機(1事業体)
事業所内連絡用の無線機を導入
木造公共建築物の整備
・本匠振興局庁舎建設事業 、 消防機庫建設事業
木材利用の促進を図るため、公共建築物の大規模修繕、改修、更新等の整備にあたっては、木造・木質化等により、財源の一つとして、森林
環境譲与税を活用しています。
市では、令和3年度より森林環境譲与税を活用して、コミュニティセンター(※)や庁舎等の木造・木質化の整備を行っています。
【事業費】本匠振興局庁舎建設事業164,175千円(内、譲与税9,000千円)
消防機庫建設事業24,866千円(内、譲与税2,500千円)
【実 績】本匠振興局庁舎(鉄筋コンクリート造一部木造)
弥生方面隊上小倉消防機庫(木造)
※コミュニティセンター(木造)・・・令和3年度整備(佐伯市青山)
本匠振興局庁舎(会議室)
税活用の啓発プレート設置
木材利用促進
・新生児誕生祝品贈呈事業
本市を中心とした県南地域で育ったイチョウを使って製作した木製食器を誕生祝い品として贈呈する事業に取り組みました。子どもの出生を
お祝いするとともに、乳幼児のころから木製品に触れ、親子に木のぬくもりや肌ざわり等の良さを感じてもらい、森林・林業・木材産業に対す
る理解の醸成を図ることを目的としています。
令和4年度は、プレートとスプーンを製作しました。
【事業費】152千円(全額譲与税)
【実 績】20セット及び試作
地域材を活用した木製食器(プレート・スプーン)
・東京オリパラ返還材レガシー再利用事業
東京2020オリンピック・パラリンピック選手村(ビレッジプラザ)の建築用材として、市産材を提供し、その返却された木材をレガシー(遺産)として有効活用するため、利用方法を公募しました。市・外部関係者において審査を行った結果、小中学校の図書館で使用する本の面出し台に決定し、製作を行いました。
【事業費】510千円(全額譲与税)
【実 績】本の面出し台135台分(小中学校図書館配備)
返却木材を再利用して製作した本の面出し台
提案者(学校図書館司書補グループ)の表彰式